(G)I-DLEのリーダーであり、メインラッパー、そしてほぼ全楽曲の作詞・作曲・プロデュースを手がける人物——
それが チョン・ソヨン(Jeon Soyeon)。
K-POPアイドルの枠を超え、いまや“アーティスト”として世界が注目する彼女。
今回は、そんなソヨンが手がけてきたプロデュース作品の全貌を徹底的に掘り下げます。
単なる「自作曲アイドル」では終わらない、彼女の音楽的天才ぶりに迫りましょう。
■ 「Produce 101」から始まった挑戦の物語
ソヨンの名が初めて注目されたのは、2016年のサバイバル番組『Produce 101』。
小柄な体から放たれる圧倒的なラップスキルとカリスマ性で視聴者を驚かせました。
惜しくも最終デビューは逃しましたが、彼女の存在感は強烈な印象を残します。
その後、『Unpretty Rapstar 3』にも出演し、
男性顔負けのライムセンスとパフォーマンス力で一気に「実力派女性ラッパー」として知られるようになります。
デビュー前からすでに、ソヨンは“プロデュースする側の人間”としての資質を発揮していたのです。
■ (G)I-DLE誕生、すべてを作り上げた「ソヨン・プロデュース」
2018年5月、(G)I-DLEがデビュー。
デビュー曲『LATATA』の作詞・作曲・編曲を担当したのが、まさにソヨン本人でした。
この曲は中毒性のあるメロディと大胆なサウンド構成で瞬く間に大ヒット。
デビュー3週間で音楽番組1位を獲得し、(G)I-DLEは“モンスター新人”としてシーンに登場します。
K-POPにおいて、デビュー曲をメンバー自身が作るというのは極めて異例のこと。
それだけでソヨンの存在は際立っていました。
「他の人に私たちの色を決めてもらうのは嫌だった。
自分たちの物語は、自分たちで作りたい。」
—— そんな言葉通り、(G)I-DLEの音楽的アイデンティティはソヨンの手によって形作られてきたのです。
■ ソヨンが作り出した名曲たち
では、具体的にソヨンがプロデュースした代表作を見ていきましょう。
● 『LATATA』 — デビューを飾った革命的サウンド
トロピカルハウスをベースに、異国情緒あふれる旋律が印象的。
歌詞は「愛に酔いしれる女性の熱情」を描き、ソヨンらしい情熱的な世界観が光ります。
アイドルらしからぬ構成とアレンジで、「ガールズグループ=かわいい」という固定観念を一気に覆しました。
● 『HANN (Alone)』 — 孤独を美しく描く
「寒い夜、愛の残り香を忘れられない女性」をテーマにした曲。
“風”や“砂漠”といった映像的モチーフを多用し、詩的な美しさが際立つ一曲。
この作品で(G)I-DLEは、単なる新人グループから“アーティストグループ”へと進化します。
● 『LION』 — 王者の風格を示した伝説
2019年の『Queendom』で披露された名曲『LION』。
これこそ、ソヨンの作詞・作曲センスが世界的に評価された代表作といえるでしょう。
重厚なドラムと民族的サウンド、そして「王冠」「爪」「血」などの象徴的ワードを使い、
“女性の強さ”を獅子になぞらえたリリックが圧巻。
まるで芸術作品のような完成度で、今でも(G)I-DLE史上最高傑作と評されるほどです。
「私はライオン。誰のものにもならない。」
—— このフレーズに救われたという女性ファンは数知れません。
● 『TOMBOY』 — 反骨精神の結晶
2022年のカムバック曲『TOMBOY』で、ソヨンの名は再び音楽業界を揺るがせます。
「私らしく生きる」ことをテーマにしたこの曲は、K-POPガールズグループの“完璧主義”から脱却した宣言とも言えます。
ロックテイストのギターリフ、挑発的なリリック、そして自由奔放なビジュアル。
全てがソヨンの思想そのもの。
「I’m not a doll」という一節には、アイドルに課せられた“型”への明確な反発が込められています。
結果、『TOMBOY』は韓国国内外で爆発的ヒット。
(G)I-DLEは“自己プロデュース型ガールズグループ”として唯一無二のポジションを確立しました。
● 『Nxde』 — 表現の自由を問いかける芸術的メッセージ
翌年リリースされた『Nxde』では、マリリン・モンローやオペラ『カルメン』の引用を交えながら、
「女性の身体や表現を消費する社会」に対する問題提起を行いました。
「裸になるのは、挑発ではなく“本当の私”を見せるため」——
そんな強烈なテーマを、ポップなメロディと華やかな演出で包み込む構成力は圧巻。
芸術性と大衆性を両立させたソヨンの才能がここでも炸裂しました。
■ 他アーティストへの提供曲も多数
ソヨンは(G)I-DLEの楽曲だけでなく、他アーティストにも積極的に楽曲を提供しています。
- CLC『No』:自己主張と自立をテーマにした曲で、ソヨンらしいメッセージ性が光る。
- キューブ練習生プロジェクト楽曲
- K/DA『POP/STARS』『THE BADDEST』:ゲーム『League of Legends』とのコラボで、世界的ヒットを記録。
特にK/DAでは、ソヨンは仮想キャラクター“Akali”の声優兼ラッパーとして参加。
英語ラップを堂々と披露し、K-POPの枠を超えて世界の音楽シーンにその名を刻みました。
■ ソヨンの作曲スタイルとは?
ソヨンは作曲ソフト「Cubase」を使い、1曲をほぼ一人で完成させることが多いといいます。
彼女の制作の特徴は次の3点です。
- 明確なコンセプトメイク
曲を作る前に「世界観」や「メッセージ」を細かく設定。
衣装・ステージ構成・MVのトーンまで頭に描いてから曲を作る。 - 感情の“音像化”
恋愛、孤独、反骨、誇り——すべての感情をメロディやリズムで表現。
特にドロップ部分の“緊張と解放”のバランスが秀逸。 - チームの個性を最大化
メンバーそれぞれの声色や表情を理解し、
曲ごとにパートを的確に割り振る。
まさに“プロデューサー型アイドル”の極みといえるでしょう。
■ 「自分たちの物語を語る」音楽哲学
ソヨンのインタビューで何度も語られるのが、
「(G)I-DLEの曲は、私たち自身の物語」という信念です。
彼女にとって音楽とは、単なるヒットソングを作ることではなく、
自分たちの生き方や価値観を世の中に提示する手段なのです。
だからこそ(G)I-DLEの曲には、アイドルソングにありがちな“他人目線”の歌詞がほとんどありません。
すべてが「私」という主語で語られ、
聴く人に“生き方のエネルギー”を与えるのです。
■ 天才の未来:ソヨンが切り開くK-POPの新時代
今や(G)I-DLEは世界的ガールズグループの一角を担う存在。
その中心に立つソヨンは、単なるプロデューサーではなく、
“次世代の音楽リーダー”と呼ぶにふさわしい人物です。
彼女の登場によって、K-POPの常識は変わりました。
「作られたアイドル」から「自ら創るアイドル」へ。
ソヨンはその象徴的存在なのです。
そして、まだ24歳(※2024年時点)という若さ。
これから彼女がどんな音楽を生み出し、どんなメッセージを放つのか——
その一つ一つが、K-POPの歴史を更新していくことでしょう。
■ 結論:ソヨンは“音楽業界の革命児”
ソヨンは天才という言葉にふさわしい。
ラッパーとして、作曲家として、リーダーとして、そして一人の表現者として。
彼女の存在は、(G)I-DLEというグループを超え、
今の音楽業界全体に「自分で創る力」の価値を示しました。
自分を表現することを恐れない。
誰かの期待に合わせない。
ただ、ありのままの自分で音楽を作る。
その生き方こそが、チョン・ソヨンというアーティストの真髄。
そしてそれこそが、(G)I-DLEが世界中のファンに愛される理由なのです。
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