TWICEのツウィがJYPエンターテインメントとの再契約を行わないと報じられたことをきっかけに、ネット上では「そもそも、なぜJYPはツウィの地元・台湾での活動をこれまで積極的にやってこなかったのか」という疑問の声が上がっている。
答えを先に言ってしまうと、これは2016年に起きたある「謝罪事件」がいまだに尾を引いているためだ。今回はその経緯を振り返りながら、この疑問に答えていきたい。

事の発端は2015年11月、たった1本の生配信
騒動の発端は2015年11月21日、韓国のテレビ番組「マイ・リトル・テレビジョン」のネット生配信だった。この回にはTWICEの外国人メンバー4人(ツウィ・モモ・サナ・ミナ)が出演し、演出として出身国・地域の旗を手に持つ企画が行われた。ツウィは台湾(中華民国)の旗を、日本人の3人は日章旗をそれぞれ手にした。地上波の本放送ではこの場面はカットされたが、ネット配信には映像が残っていた。
当時16歳だったツウィが台湾の旗を持ったこの映像に対し、「台湾独立」を支持する行為だと批判する台湾出身のコメディアンが反応。これが中国のネットユーザーの目に留まり、瞬く間に大きな騒動へと発展していった。
JYPが下した「謝罪」という決断
中国のネットユーザーからの反発が強まる中、JYPエンターテインメントは2016年1月13日、事態が沈静化するまでツウィの中国での活動を全面自粛すると発表。さらに1月15日深夜には、公式YouTubeチャンネルでツウィ単独の謝罪動画を公開した。動画の中でツウィは、自分の発言と行動が事務所や両岸(中国大陸と台湾)のネットユーザーを傷つけたとして謝罪し、「中国は一つ」「私は中国人であることを誇りに思う」といった言葉を口にしている。
この謝罪動画は大きな議論を呼んだ。わずか16歳の少女が国旗を手にしただけでここまで謝らされる必要があったのか、なぜJYPはここまで中国側に低姿勢な対応を取ったのか、という批判が韓国国内からも噴出した。さらに、この騒動は台湾の総統選挙にも影響を及ぼし、当選確実となった蔡英文氏が記者会見でこの一件に直接言及するほどの政治的な出来事になっていった。
「トラウマ」となった一件、以後10年近く台湾・中国での公演なし
この一連の騒動は、ツウィ本人にとってはもちろん、対応をめぐって激しい批判を受けたJYPにとっても大きな「トラウマ」になったとみられている。実際、事態が収束した後もTWICEは長らく中国・台湾市場での活動を行わなかった。香港でのMAMAやミュージックバンク出演といった例外はあったものの、JYP自身が主催する台湾・中国本土での公演は基本的に行われない状態が続いた。
この空白がようやく破られたのは、2025年11月。TWICEはデビュー10年目にして初めて、ツウィの故郷である台湾でコンサートを開催した。10年近くにわたって「故郷での凱旋公演」が実現しなかった背景には、2016年の国旗騒動が長く尾を引いていたことがあるとみられている。
つまり「謝罪事件」が今も響いている
まとめると、ネット上で上がっている「なぜJYPはツウィの台湾活動を行わないのか」という疑問への答えは、まさにこの2016年の謝罪事件にある。
- ツウィが台湾の旗を持った映像がきっかけで中国側から猛反発を受けた
- JYPは中国市場への影響を懸念し、ツウィ単独の謝罪、中国活動の自粛という対応を取った
- この対応が「政治的にセンシティブな火種」としてJYP内に強く記憶され、以後、中国・台湾での活動そのものに慎重にならざるを得なくなった
- 結果として、TWICEとしても台湾での本格的な公演はデビュー10年目までお預けとなった
つまり、台湾での活動が少なかったのは「ツウィを軽視していたから」というよりも、むしろ2016年の一件で政治的リスクの大きさを痛感したJYPが、同じ事態を再燃させないよう極めて慎重な姿勢を取り続けてきた結果と見るのが妥当だろう。
今回、ツウィのJYP離脱が報じられ、個人事務所設立や台湾での単独活動への注目が高まっている背景には、こうした長年の「歯がゆさ」もあるのかもしれない。もし今後、ツウィが個人としてより自由に台湾で活動できる体制が整うとすれば、多くのファンにとっては待ち望んだ変化になりそうだ。
本記事は各種報道・公開情報をもとに構成しています。事実関係は今後の報道により変わる可能性があります。


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